「高等支援学校卒業後は、何をするの?就職?進学?」
「給料はいくらもらえるの?生活はやっていけるの?」
そんな考えをおもちの方もいるのではないでしょうか。
知的障害のある方が特別支援学校を卒業した後の進路先は大きく5つあります。
- 一般企業
- 就労移行支援事業所
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 生活介護事業所
「5つだけ?!大学や専門学校への進学はできないの!?」
中には大学や専門学校への進学を希望する場合もあるようですが、進学した方を私は聞いたことがありません。
また、高等支援学校卒業=高卒とはならないのが現状です。
大学や専門学校によっては、入学・受験条件として、“高等学校を卒業した者”などという文言もあり、特別支援学校卒業では、入学・受験が認められない場合もあるようです。
そうなると、『高等学校卒業程度認定試験』を受ける必要が出てくる場合もあります。
各大学や専門学校がどのように対応してくれるのかを事前に聞いてみるのが確実です。
特別支援学校卒業後の進路
それでは、特別支援学校卒業後の5つの進路について解説していきます。
②就労移行支援事業所や③就労継続支援A型、④就労継続支援B型はあまり聞き慣れない方がおおいのではないでしょうか。それぞれ違いがありますので、正しく理解しておきましょう。
また、実際に卒業した方から聞いたお話もご紹介いたします。
①一般企業
一般的な企業や会社です。
2020年4月1日に『障害者雇用促進法』の改正されました。
障害者の雇用について国や企業も様々な取り組みや法律から、推進されてきてはいますが、
まだまだ厳しいのが現状です。
また、就職したけれど、仕事や人間関係が上手くいかずに数ヶ月でやめてしまう。
ということも多くあるようです。
そして、一般企業への就職は狭き門です。
高等支援学校を卒業し、一般企業へ就職する方は、2%程度にとどまっています。
一般企業への就職は、事業所と比べ安定的な収入が得られる分、
仕事の難しさ、人間関係を良好に保つ難しさもあり、慎重に選ぶ必要があるでしょう。
②就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は
“一般企業への就職“を目的として、そのための訓練を受ける場所
就労移行支援事業所には、2年間という期限も設けられています。
2年間のうちに、就職先を探し決定しなければなりません。
また、就労移行支援では、基本的には給料や工賃が支払われることはありません。
(一部企業によっては、払われる場合もあるようです。)
就労移行支援事業所では、今後一般企業で働いていくための、基本的な態度や技能等を学ぶ場所ということになります。
給料や工賃はもらえませんが、一般企業への就職に向けての力を身に付けたり、就職に向けてサポートしてくれる所が特徴です。
入所には年齢制限もあり、65歳未満となっています。
そして、就労移行支援の利用には自己負担額がかかる場合があります。
就労移行支援の自己負担額は、前年度の世帯収入に応じて変わってきます。
世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(※1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(※2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者を除く(※3)。 | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(※2)収入が概ね600万以下の世帯が対象になります。
(※3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」となります。
※その他条件によって減免があるので、各行政に確認してください。
③就労継続支援A型
就労継続支援A型は、障害者総合支援法の福祉サービスの1つです。
雇用契約を結び、一定の支援を受けながら、働くことができます。
年齢が65歳未満までサービスを受けることができます。
就労継続支援A型では、工賃が支払われます。
※就労継続支援A・B型では、給料ではなく工賃や賃金と呼ばれます。
就労継続支援A型では、雇用契約を結ぶので、各都道府県の最低賃金が保障されます。
また、労働法も適応となります。
1ヶ月の工賃は約7万円程度が多いようです。
現時点では、一般企業への就職に不安がある場合や一般企業への就職が困難な場合は、就労移行支援A型のサービスを利用します。
④就労移行支援B型
就労継続支援B型は、就労継続支援A型と同じく、障害者総合支援法の福祉サービスの1つです。
ただし、就労継続支援B型では、雇用契約を結びません。
雇用契約をむずばないということはどういうことかというと、
最低賃金の保障や労働法も適応されないということになります。
就労継続支援B型の工賃の支払われ方は、2パターンあります。
○1ヶ月の売り上げをみんなで分ける場合
○1時間あたりの工賃が決まっている場合
※各事業所等によっても違いがあるので事前に確認が必要です。
1ヶ月の工賃は、約1万5千円程度が多いようです。
事業所によっては、もっと少ない場合もあります。
就労移行支援と就労継続支援の比較

⑤生活介護事業所
生活介護事業所は、重度の障害があり、常に介護が必要になる方が利用する施設です。
お菓子作りや箱おりなどの簡単な作業を行ったり、
生活全般の相談や助言を受けながら、利用する施設です。
生活介護事業所の利用料金については、厚生労働大臣の定める基準により算出された額のうち9割が介護給付費・訓練等給付費として市町村から支給されます。
事業者が市町村から代理受領する場合は、サービス料料金の1割を利用者負担金として支払うことになります。
実際の料金については、世帯の収入状況に応じて算出されるので、サービス受給者証に記載された額となります。
特別支援学校卒業したあとの実際と現状
2019年3月に高等支援学校を卒業し、4月から就労した男性の方にお話しを伺いました。

よろしくお願いします。現在はどのようなお仕事をされているのですか?

ホームセンターで品出しや商品の棚だしの仕事をしています。

仕事場へは何で通われているのですか?また、勤務時間は何時から何時までですか?

仕事場へは、自転車かバスで通っています。時間は、コロナの影響もあって、10:00〜17:00までです。その前は9:00〜16:00まででした。

お給料は月にいくらくらいですか?また、時給制ですか?

給料は手取りで11万〜12万くらいです。時給制です。

仕事をしていて大変に感じる事はなにかありますか?

仕事を始めたばかりの頃は、一日中休憩時間以外、立ちっぱなしで仕事をすることが大変でした。後は、働いている方との人間関係です。とても優しい人もいるけど、合わない人もいます。

これからの目標は何かありますか?

今はお金を貯めて、運転免許を取得して、車を買う事が目標です。

体調等には充分気をつけて、目標に向かって頑張っていってください。ありがとうございました!

頑張ります!ありがとうございました。
就労しても、数週間や数ヶ月で辞めてしまう方も多い中、2年間も続けられていてすごいと感じました。
話している言葉からも、自信と目標に向けての意思がしっかりとある事も、仕事を継続させていくためには、必要なことなのかもしれませんね。
会話の要点をまとめると
○ホームセンター勤務 9:00〜16:00(7時間勤務※休憩含む)
○通勤は自転車orバス
○給料は11万円〜12万円
○人間関係の大変さもある
○目標をもって仕事に向かうことが大切
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