内閣府から示された、障害者の状況の資料では、身体・知的・精神障がいの3区分について、各区分の障害者数の概数は、身体障害者436万人、知的障害者108万2千人、精神障害者419万3千人と報告された。単純計算で、人口の7.6%にもあたる。1000人あたりで考えると、76人が障害を抱えているということになります。障害は、産まれた時からすぐに分かるものもあれば、年齢を重ねるにつれて分かっていくものもあります。また、事故等により後天性の障害などもあり、誰もが障害を抱える可能性をもっています。障害についての知識を正しく理解し、向き合っていくことが大切になります。
障害の種類
まずは、障害の種類について、障害者対策の基本的理念を示す法律「障害者基本法」では、障害者の定義を「身体障害、知的障害、または精神障害がある為、長期にわたり日常生活、または社会生活に相当な制限を受ける者」とされています。
障害の種類や基準については、は大きく分けてこの3つです!

この中でも、上記にある精神障害の□内の障害については、2004年施工の発達障害者支援法により、適応されるようになりました。
それ以降注目が集まり、様々な研究が進められ、多くのことがわかってきてはいますが、まだわかっていないこともあったり、多くの人に認知されていないことが現状ではないでしょうか。
また、18歳未満の人数を区分別に見てみると、身体障害者は6万8千人・知的障害は21万4千人・精神障害は38万5千人(2017年25歳未満)となっています。
その他にも診断は受けていないけど、障害をかかえているというケースも多くあります。
2004年の発達障害者支援法から自閉症やアスペルガー症候群、うつ病・てんかん・高機能障害・発達障害などが加わったように、研究が進められ、これまで診断されてこなかった障害が“障害“として診断されるようになりました。
障害という言葉を聞いたら、多くの人は重度の障害を想像されるのではなでしょうか。
身体障害があり、車椅子の利用や白杖の使用、手話での会話など目に見えて障害を認識できるものだけではなく、発達障害やうつ病など障害の有無がわからないケースも増えてきています。
ですので、障害に対する知識を正しく理解し、障害のあるないに関わらず、全ての人が生活しやすい社会を築いていくことが求められます。とはいえ、なかなか難しいのも確かです。
この記事では、特に18歳未満に焦点を当てて、障害についての内容をお伝えします。正しい知識を身につけて、自分の子どもや周囲の障害を抱えた方々の理解を深めていって下さい。
記事の内容について、様々な研究も今もなおされているので、内容が変わることやこの記事の内容全てが正しいとは言い切れません。ですので、色々なところから情報を収集していくことが大切です。
知的障害について
知的障害とは、18歳までの成長期に生じる知的発達の遅れによって、社会生活に適応する能力に制限がある状態のことを言います。
知的障害の判断については、知的能力の程度と適応能力の状態の両方を見ます。
知的能力とは、読み書き計算などの基本的なことや、物事を考えて判断・行動する能力のことです。適応能力とは、集団のルールを守って生活をすることや他者と良好な関係を築く能力のことです。
知的障害の判断基準
知的障害は、知的能力が低いだけでは「知的障害」として判断されません。適応能力も含めて、知的障害の判断がされます。
まず、知的能力については、心理・知能検査によって測られます。
心理・知能検査の種類についてはたくさんあります。下記ページで詳しくて、わかりやすい紹介がされていますので、参考にしてみて下さい。
有名な検査としては,鈴木ビネー式知能検査(2歳〜)田中ビネー知能検査(2歳〜)WISC-Ⅲ知能検査(5歳〜)WISC-Ⅳ知能検査(5歳〜)などがあります。
検査については、病院や児童発達センターなどで行うことができます。費用についても様々ですので、事前に検査内容や費用について確認しておくことが良いでしょう。
知能検査を行うと「知能指数(IQ)」が算出されます。IQ70以下だと知的障害に該当する可能性があります。
しかし、知的能力が低いだけでは知的障害とは判断されません。
同時に、適応能力にも制限がある状態であり、かつ、これらの症状が発達期(18歳まで)に現れているという、3つの条件が揃った場合に知的障害である可能性が考えられます。
適応能力については、保護者への聞き取りや本人との面談を通して、医師が総合的に判断します。
知的障害の程度については、「知的能力」と「適応能力」の両方から、最重度・重度・中度・軽度の4段階に分かれます。
程度別の特徴としては、
最重度
会話や身振りを使ったコミュニケーションは、限られた範囲であれば理解できる。身振りや絵カードなどの手段を使い、コミュニケーションをはかり、他人と意思疎通を行うことができる。日常生活で他者からの指示や援助を必要とすることが多くなる。
重度
言葉や数量、時間や金銭などの概念を理解することが難しい。食事や身支度、入浴などの様々な生活場面において支援が必要である。コミュニケーションにおいては、単語や句を使っての簡単な会話のみ可能。
中度
学習技能は小学校程度の水準にとどまっていることが多い。複雑な社会的な判断や意思決定や重要な決断を行うときは支援が必要となる。コミュニケーション能力に制限がある。 適切な支援や教育によって、身の回りのことや家事ができるようになる人が多い。支援があれば、職種や環境によっては自立して仕事をすることも可能である。
軽度
金銭の管理や抽象的な思考や文章の読み書き、優先順位をつけることなどが苦手である。言葉の使い方やコミュニケーションにおいて、同年代のほかの人より未熟な点が見られる。 身の回りのことを行うことに支障はないことが多く、家事や子育て、金銭管理、健康管理上や法的な決断は、支援があればうまくできる。
程度によって4段階には分けられますが、個人差もあるので、一概に全てが当てはまるとは限らないことも覚えておいて下さい。
精神障害について
精神障害とは、精神疾患のため精神機能の障害が生じ、日常生活や社会参加が困難な状態のことをいいます。深刻なものになると、判断能力や行動のコントロールが著しく低下することがあります。
今回の記事では、特に発達障害に関する内容について説明していきます。
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害です。発達障害の認知についてはまだまだ広まっておらず、障害としてではなく、「わがまま」「怠学」「自分勝手」「育て方が悪い」などと誤った見方をされてしまうことも少なくはありません。本人や親、周囲の人が正しい知識を学び、障害について理解を深め、サポートしていくことが大切です。
発達障害の種類と特徴

発達障害は大きく3つに分類されます。
- 自閉症スペクトラム(ASD)
- 学習障害(LD)
- ADHD(注意欠如・多動性障害)
また、発達障害と併せて知的障害を有する場合もあります。
発達障害にも、軽度や重度など程度はあります。しかし、知的障害のようにはっきりとした基準はありません。例えば、ADHDと診断されても、多動性の傾向はあるが、注意欠如の傾向についてはみられない。または、その逆の場合もあります。ですので、発達障害については、程度によっての差はあるものの、個人差がかなり大きいです。その分、「わがまま」「できない子」「悪い子」とみられてしまうことも多いようです。発達障害に対する正しい知識を身につけて、関わりや支援をしていくことが大切です。
それでは、発達障害の分類ごとの特徴を解説していきます。
自閉症スペクトラム(ASD)
<特徴>
- 社会性と対人関係(共感性が乏しい)の障害
- コミュニケーションや言葉の発達の遅れ
- 行動や興味の偏りがあり強いこだわりをもつ
想像力にも困難があり、様々な情報から推測する。ということが困難である。また、こだわりが強く、急な変化に対する柔軟な対応の難しさもある。
ADHD(注意欠如・多動性障害)
<特徴>
- 不注意
- 多動性
- 衝動性
このことにより、日常生活に支障をきたす状態のこと。不注意が優勢に存在する場合と多動性・衝動性が優位に存在する場合、両方を併せ持つ場合と3つのパターンがあります。
学習障害(LD)
<特徴>
- 知的な遅れはないが、読み・書き・計算についての学習の習得と使用が著しく困難
はっきりとした基準はないが、概ね1〜2学年程度の遅れがある場合が一般的です。また学習障害については、本格的に学習が行われる小学校頃になるまでわからないことも特徴的です。
発達障害の原因
それでは、発達障害の原因は一体何なのでしょうか。この原因が正しく認識されておらず、悲しい思いをしたり、適切な支援や関わり方につながらないこともあるので、是非理解していただきたいです。
<原因>
- 多くの場合は原因不明
- 遺伝的要因が大きい。
- 環境要因(妊娠中の喫煙、父母の高齢など)
- 周産期の異常(低出生体重児など)
その他にも、脳機能の偏りや生後の感染症によるものなどの場合もあると言われていますが、多くの場合は原因不明なんです。
なので、「しつけや愛情不足」「親の育て方が悪い」などでは決してないということを理解していただきたいです!
また、発達障害ということが理解されずに、適切な支援や関わりを受けられないまま、「ダメな子」「悪い子」「変わった子」などと認識さてしまい、自尊心が低下してしまう。ということも考えられます。発達障害などの診断が出ることは、“障害者“というレッテルを貼られてしまうと心配もあるでしょうが、周囲に理解してもらったり、正しい関わり方や支援していく上では、大切になります。
特に発達障害児は、健常児と見た目はわかりづらいのも特徴です。心配な場合は、是非医療機関や学校などへ相談してみると良いでしょう。
障害別チェック項目
各障害についての特徴をもとにチェック項目を作成しました。お子様の行動などをみてチェックしてみてください。なお、このチェック項目に当てはまったからといって、知的障害や発達障害と診断されるとは限りません。正しい診断は医療機関で検査を行うようにしてください。
自閉症(ASD)
チェック欄 | チ ェ ッ ク 内 容 ・ 項 目 |
□ | 他人となかなか目線が合わなかったり、避けたりすることがある。 |
□ | 他人に興味がなかったり、一緒に喜んだり悲しんだりなどの感情を共有することが少ない。 |
□ | 質問をすると、同じ言葉で質問をし返すことがある。オウム返しの傾向がある。 |
□ | いつも同じ物や事柄で遊んだりすることがある。おもちゃを一列に並べる。扉の開閉を何度も行うなど。 |
□ | こだわりのルーティンがある。いつも同じ服を着る。着替えや準備、行動の順番が毎回同じで、決まっているなど。 |
□ | 感覚に対しで鈍感である。転んで出血があっても痛がらない。 |
□ | 感覚に対して、過剰に反応を示す。掃除機の音や大きな音がすると耳を塞いでいるなど。 |
□ | 新しい人や場所を激しく嫌がったり、不安を示す |
ADHD(注意欠如。多動性障害)
チェック欄 | チ ェ ッ ク 内 容 ・ 項 目 |
□ | 落ち着きがなく、注意を持続することができない、または困難である。授業中に立ち歩いてしまうなど。 |
□ | 周囲のことが気になってしまい、集中力を保ち続けることが難しい。 |
□ | 忘れ物や物を失くしたりすることがよくある。 |
□ | 遊びの中でルールや約束を守ることが難しい。 |
□ | 指示は理解しているが、行動が伴わない。 |
□ | 急な予定や場所の変更に対応できない。 |
学習障害(LD)
チェック欄 | チ ェ ッ ク 内 容 ・ 項 目 |
□ | ひらがなの音読が遅く、読み間違えも多い。 |
□ | 文字や文章を理解することが難しい。 |
□ | 文章のあらすじを理解したり、まとめることが難しい。 |
□ | バランスの取れた字を書くことが難しい。 |
□ | 板書などの書写しが極端に遅い。 |
□ | 自分の思いや考えを文章に書いて表現することが難しい。 |
□ | 数の概念が身についておらず、数列の規則性などが理解できない。 |
□ | 足し算・引き算などの簡単な計算を習得することができない。 |
□ | 文章問題を解くことが難しい。 |
いかがでしたでしょうか?
はじめにも述べていますが、このチェック項目に当てはまったから、必ずしも障害があるとは限りません。成長や発達の速度には個人差があります。ご家庭や出先、保育期間や学校で変わった様子や心配なことがある場合は、早めに相談すると良いでしょう。
おわりに
今回は障害の種類やチェック項目についてご紹介しました。この記事をみて、障害の種類や知的障害や発達障害に関する知識や理解が深まってくれたら嬉しいです。
また、すでにお子様がいる方やこれからパパやママになる方々にも非常に大切な内容です。多くの方が、障害について正しい知識と理解があり、全ての人が豊かで幸せに生活していけるようになればと願っております。
別のサイトで、「発達障害に関するお悩みをおもちの方への2つの提案と2つの具体的な対策」もご紹介していますので、ご覧頂ければ幸いです。
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